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相続した家の接道条件が気になる方へ!売却可否の判断ポイントを解説

相続

熊澤 直也

筆者 熊澤 直也

不動産キャリア8年

・大手IT企業で7年間、大手不動産仲介会社で8年間勤務
・名古屋市内、愛知県北部を中心に豊富な成約実績
・前職大手不動産会社での全国表彰回数は2回
・自身での不動産売買経験も5回
自身の経験をもとに良かった点、住み替えで失敗した点を踏まえ、最適なご提案をさせていただきます。

相続によって突然家や土地を受け継いだものの、「この家は本当に売れるのか」と不安を感じていませんか。実は、不動産の売却には「接道条件」と呼ばれる重要な基準があり、これを満たさない場合は売却や活用が大きく制限されることがあります。本記事では、接道条件とは何か、その確認方法や、もし条件を満たしていなかった場合の対処法まで、分かりやすく解説します。土地や家の売却をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

接道義務とは何かとその売却への影響(相続した家における法的基礎)

建築基準法では、土地に建物を建てるには「接道義務」を満たす必要があります。具体的には、建築基準法第42条で定められる幅員四メートル以上の道路に対し、敷地が二メートル以上接していることを求めています。この規定は、緊急車両の通行や避難経路の確保といった安全面を担保するため設けられています 。

この接道義務を満たさない場合、相続した家は「再建築不可物件」に該当する可能性が高くなります。つまり、建て替えや増改築といった行為が原則としてできず、資産価値や活用の幅が制限されます 。

たとえば、旗竿地のような敷地形状で道路に接する通路の間口が二メートルに満たなければ、建築確認は得られません。また、敷地が接していても、その道路が建築基準法上の「道路」と認められない場合も同様です 。

接道義務の要件要件内容目的
道路幅員4メートル以上(建築基準法上の道路)緊急車両の通行確保
接道距離2メートル以上接する避難路や支援活動の円滑化
道路の種別建築基準法で定義された道路であること安全上の基準に適合した道路か判断

このように、相続した家が接道要件を満たしていない場合は、売却の際に大きな制約となります。再建築不可というステータスがつけば、買い手が見つかりにくくなり、売却価格も低下しがちです。目的が将来的な売却や活用であるなら、まずは接道義務を満たしているかどうかを確認することが重要です。

接道条件の確認方法と役所での調査ポイント

相続した土地が建築基準法上の「道路」に接しているかどうかは、市区町村の役所(建築課や都市計画課など)で確認できます。役所では、どの道路が建築基準法第42条・第43条に該当する法令上の「道路」であるかがわかる道路台帳や都市計画図を閲覧できます。道路の幅員や法的な分類、接道状況を正確に把握することができ、その結果として建築可否や売却可能性を判断する指標となります(例:幅4m以上の道路に接しているかどうか)。

特に注意したい形状としては、路地状敷地や旗竿地など、間口が狭く道路との接し方が限られている土地です。こうした土地は接道義務を満たしていない可能性が高く、建築や売却に影響します。また、道路が建築基準法第42条2項の「みなし道路」であるかどうかも確認が必要です。幅員が4m未満の場合でも、セットバックによって建築可能となる場合があります。それぞれの条件や課題については、役所での相談や行政資料を参考に整理するとよいでしょう。

さらに、自治体によっては接道義務の解消を支援する制度が整備されている場合があります。たとえば、セットバックに伴う分筆や塀の撤去に対し補助金を提供する自治体もあります。税金面でも、セットバック部分が公衆用道路に転用された場合、固定資産税や都市計画税が非課税になるケースがあります。ただし、非課税措置を受けるには申告手続きが必要で、分筆などの手続きが完了していることが条件となることが多いです。

確認項目ポイント役所で確認すべきこと
道路の法的位置づけ建築基準法上の道路(第42条・第43条)か道路台帳・都市計画図での確認
道路の幅員と接道長さ幅4m以上か、敷地の間口が2m以上か現地調査および情報図面の参照
セットバックの要否2項道路の場合、後退が必要かどうかセットバックの範囲・手続・補助の有無

接道問題がある土地の対処法(売却に向けた対応策)

相続した土地が接道義務を満たしていない場合、売却や再建築に支障が生じます。しかし、法的に整備された方法を通じて対処することが可能です。

対処方法内容ポイント
隣接地との交渉隣接地所有者から通路部分の土地を取得または借用して接道幅を確保交渉の難易度・取得費用に注意
セットバック・位置指定道路の設定道路幅が狭い場合、セットバックによって必要な道路幅を確保、あるいは位置指定道路として道路扱いにする手法建築可能面積や評価額に影響
現状での売却接道未解決のまま売却する場合、対象者を限定・価格調整を行う売却価格が低下する可能性あり

まず、隣接地所有者との交渉では、通路部分を取得することで接道要件を満たせる可能性があります。実例では、相場を上回る価格で取得したとしても、再建築が可能になり土地の活用価値が向上したというケースがあります 。

次に、セットバックや位置指定道路の設定は、特に幅員4メートル未満の道路に接する土地で有効です。セットバックによって将来的に必要な道路を確保しつつ、法的要件を満たす方法です 。ただし、セットバックによって敷地が狭くなり、建築可能な延床面積が減ることや、土地評価額が減少する点には留意が必要です 。

最後に、接道条件を解消せずに売却する場合は、購入希望者が限定されがちで、売却価格が周辺相場より低くなる傾向があります 。こうした場合には、あらかじめ価格設定や販売戦略を慎重に検討する必要があります。

相続した家を売却する際の法的・税制上の留意点

相続した住宅を売却する場合、まず接道条件などにより建築が可能かどうかを確認することが重要です。それが整っていないと再建築不可となり、売却そのものが困難になる可能性があります。また、耐震基準や接道義務など、建築基準法に関わる法的事項は売却の可否や価格に直接影響しますので、専門家とともに事前に確認されることをおすすめします。

さらに、相続した空き家を売却する場合には「被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除の特例」、いわゆる「空き家特例」を利用できる可能性があります。この制度を利用すると、譲渡所得から最高三千万円まで控除できます。ただし、適用にはいくつかの要件がありますので、以下の表で要点を整理しました。

要件概要注意点
売却期間相続開始から3年後の12月31日まで期限を過ぎると特例適用不可
譲渡価格1億円以下複数売却や分割がある場合、合算で判断
建物・敷地の状態昭和56年5月31日以前築、耐震補強または取り壊し要買主による工事も譲渡後翌年2月15日までに可

特例を利用するには、さらに要件が複雑で、例えば共有相続で相続人が三人以上の場合は控除額が一人あたり二千万円に減額されます。その他、登記事項や確認書の取得、確定申告書への添付書類も多数必要となりますので、税理士や司法書士への早めの相談が不可欠です(例:被相続人居住用家屋等確認書など)。

売却前に専門家へ相談することは、法的な要件や税制上の優遇を最大限活用するうえで非常に重要です。不動産の名義・登記、耐震性の確認、適用要件の整理などを踏まえたうえで、お手続きや売却の計画を進めることをおすすめいたします。

まとめ

相続した家の売却を考える際には、まず接道条件が満たされているかの確認が不可欠です。接道義務に適合していなければ、再建築ができず、売却や活用に大きな制約が生じる可能性があります。役所などで道路種別や敷地条件を正確に調べ、解決策を検討することが大切です。また、セットバックや隣地との調整など具体的な対応も視野に入れる必要があります。売却前の専門家相談や税制優遇の活用も後悔しないための重要なポイントです。複雑な課題も早期の対策で安心して次の一歩を踏み出せます。

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この記事の執筆者

このブログの担当者 熊澤

◇不動産キャリア:8年

◇保有資格:宅地建物取引士・測量士補・基本情報技術者/応用情報技術者

◇大手IT企業で7年、大手不動産仲介会社で8年間、名古屋市内、愛知県北部を中心に豊富な成約実績がございます。前職大手不動産会社での全国表彰回数は2回。 自身での不動産売買経験も5回あり、良かった点、住み替えで失敗した点もございます。その経験をもとに最適なご提案をさせていただきます。

◇特に名古屋市の不動産売却・購入はお任せください!

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