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不動産購入で契約不適合責任に要注意!契約時の注意点と確認ポイントを解説

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熊澤 直也

筆者 熊澤 直也

不動産キャリア10年

・大手IT企業で7年間、大手不動産仲介会社で8年間勤務
・名古屋市内、愛知県北部を中心に豊富な成約実績
・前職大手不動産会社での全国表彰回数は2回
・自身での不動産売買経験も5回
自身の経験をもとに良かった点、住み替えで失敗した点を踏まえ、最適なご提案をさせていただきます。

不動産の購入は、多くの方にとって人生で一度あるかないかの大きな決断です。しかし、いざ契約を結んだ後に「思っていた物件と違った」「設備が壊れていた」といった問題が見つかることも珍しくありません。この記事では、不動産を購入する際の「契約不適合責任」という重要なルールと、その際に注意すべき点について分かりやすく解説します。安全で納得できる住まい選びのために、必要な知識をしっかりと身につけましょう。

契約不適合責任とは何か(不動産を購入予定の方が知っておきたい基本)

まず、契約不適合責任とは、売買契約で定められた「種類」「品質」「数量」に不動産が合致していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです(たとえば、建物に雨漏りがあったり、土地の面積が契約と異なっていたりするケースです)。

この契約不適合責任は、従来の「瑕疵担保責任」に代わって、2020年4月に施行された改正民法により導入された制度です。従来の責任との大きな違いとして、「隠れた瑕疵」が前提ではなくなった点、さらに買主が利用できる救済手段が拡充された点が挙げられます。

具体的に「契約内容に適合しない」とは、不動産に以下のような問題が含まれる場合です:

不適合の種類具体例
物理的な不適合建物の傾きや雨漏り、地盤の不安定さ
法的な不適合用途制限や抵当権などの権利関係、法令違反
心理的・環境的な不適合事件物件や嫌悪施設による住み心地の問題

(上記の例は、不動産購入時に契約と現実との齟齬が発生しやすい典型的なパターンです)。

最後に、買主の注意点として、契約書に記載された内容と現実の物件状態にずれがあると、大きなリスクとなります。事前に明確な確認を行わずに契約を進めてしまうと、あとで修補や補償を求める際に不利になることがありますので、契約の内容と現実の状態との一致に関してしっかりと確認することが重要です。

買主が行使できる権利とそのポイント(購入予定者が理解すべき請求手段)

不動産購入後に契約内容と異なる状況(契約不適合)が発覚した場合、買主には4種類の請求手段があります。それぞれの内容と判断の視点を表にまとめました。

請求手段内容判断のポイント
追完請求売主に対して、不適合を補修・修理するなど、契約内容に合った状態に戻すよう求める請求修理で解決できるかどうか
代金減額請求修補が困難な場合や売主が追完に応じない場合に、不適合分に応じて代金を減らす請求金銭的な解決で十分か
損害賠償請求契約不適合によって被った損害を金銭で賠償してもらう請求(売主に帰責事由があることが前提)損害額が明確で、補填が必要かどうか
契約解除契約目的が達成できないと判断される場合に、契約そのものを取り消す請求契約自体をなかったことにしたいか

請求手段を選ぶ際は、自分がどのように解決したいかを明確にすることが重要です。修理重視なら「追完請求」、金銭解決なら「代金減額」、被害が大きく損害補償が必要なら「損害賠償」、根本的な解消を望むなら「契約解除」が検討対象です。

また、請求できる期間と通知のタイミングにも注意が必要です。種類や品質に関する契約不適合については、「不適合を知った時から1年以内」に売主へ通知しなければ、追完請求・代金減額・損害賠償・契約解除のいずれもできなくなります。そのうえで、権利自体の行使期限は、「知った時から5年以内」、または「引き渡しから10年以内」で消滅時効になります(数量や権利関係の不適合には、1年通知規定は適用されません)。

契約時に確認すべき注意点(購入前のチェックポイント)

不動産の購入契約に際しては、契約書や重要事項説明書に記載された内容を漏れなく確認することが非常に重要です。まず、面積や設備の状態、権利関係など、物件に関する基本情報が正確に記載されているかどうかを必ず確認してください。土地・建物の登記記録、公図、インフラ状況や法令制限(用途地域や建築制限など)との整合性を確認することで、後のトラブルを予防できます。特にマンションの場合は、管理規約や修繕積立金、共用部分と専有部分の区分もチェックポイントになります。

次に、免責特約や請求権の制限条項について注意深く目を通しましょう。契約不適合責任を免責する旨の特約は契約の自由として認められていますが、売主が不適合を認識しながら告知を怠った場合などには、信義に反するため無効とされ、追完請求などを行える可能性があります。したがって、免責条項がある場合でも、どのような場合に効力を持たないのか、条文や契約条件に沿って確認が必要です。

さらに、宅地建物取引業者(宅建業者)が売主となる場合には、契約不適合責任の期間に特別な規定があります。民法では買主が不適合を知った後1年以内に通知すれば請求できるとされていますが、宅建業者が売主の場合は宅建業法により責任期間は引き渡し後最低2年間と定められており、短縮する特約は原則として無効です。一方、個人間売買では契約自由の原則が働き、免責特約や責任期間の設定も柔軟に行えます。この違いを購入前にしっかり把握しておくことが大切です。

下表は、購入前に確認すべき主な項目をまとめたものです。契約書や重要事項説明書を読み込む際の参考にしてください。

確認項目 チェックポイント
面積・設備・権利関係 登記・公図との整合性、インフラや法令制限の記載
免責特約・請求制限 免責の有効性、告知義務違反時の効力を確認
責任期間の設定 宅建業者売主なら2年最低保証、個人売主の場合は契約による

トラブル回避のために購入予定者ができること(備えと対策)

不動産購入の際、後々のトラブルを避けるためには、事前の備えが大切です。まずは契約書に記載された内容と現地の状態が一致しているか、現地調査や専門家による確認を行いましょう。ホームインスペクション(建物状況調査)を利用し、雨漏り・シロアリ被害・配管の不具合などの品質不適合を第三者視点でチェックすることが効果的です。これにより、売主との認識のずれを防げますし、必要な開示を受けられます。民法の制度に基づき、買主の請求権を失わないためにも、引き渡し後すぐの確認が重要です。 特に不動産業者が売主の場合、業法により引き渡し後最低2年間の責任が確保されますし、個人売主でも特約で3ヶ月などに短縮されるケースがあるため、責任期間の長さは購入の安全性に直結します。 

次に、契約時にはリスクを減らすために、状態の明示や責任範囲の明確化を求めましょう。具体的には、雨漏りやシロアリなどの既知の不具合について「容認事項」として明記してもらうことが有効です。契約書に記載され、買主が合意していれば、後に請求権が制限される場合があります。加えて、免責特約がある場合は、どの範囲で売主が責任を負わないのか具体的に確認し、曖昧なまま同意しないことが大切です。特に知っていた不具合を意図的に説明しなかった場合は、免責特約が無効となり、売主の責任が免除されない点にも留意してください。 

万一問題が発覚した場合は、まずは速やかに売主に通知することが重要です。契約不適合の場合、買主はその事実を知った時から1年以内に通知しないと請求権を行使できない場合があります(品質・種類の場合)。ただし、売主が不適合を知っていた、あるいは重大な過失があると認められるときはこの期限は問われません。通知後は、専門窓口や消費者相談などを活用して具体的な対応を相談すると安心です。特に宅建業者が売主であれば、契約不適合責任期間の下限(2年間)が確保されますし、トラブル対応にも体制が整っている場合が多いです。 

以下に、購入予定者が備えるべき具体的なアクションをまとめました:

実施内容 目的 注意点
ホームインスペクション等の専門調査 実際の状態と契約内容の一致確認 費用はかかりますが、不具合発覚時の備えになります
契約書への不具合・容認事項の明示記載 責任範囲を明確にし、後日のトラブルを防止 内容は具体的に記載し、曖昧な文言は避ける
不適合発覚時の迅速な通知と相談 法定請求期間内の対応を確保 いつ知ったかなどの記録を残すことが重要です

まとめ

不動産の購入に際しては、契約不適合責任の内容を十分に理解することが重要です。契約書や重要事項説明書を丁寧に確認し、現地の状況と齟齬がないかを事前に確かめることで、後悔のない取引につながります。また、もし契約内容と実際の状態に違いがあった場合に備え、どのような請求権があり、どのような条件や期間で行使できるのかを知っておきましょう。正しい知識と準備で、大切な不動産取引を安心につなげていただきたいと思います。

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この記事の執筆者

このブログの担当者 杉浦

◇不動産キャリア:23年

◇保有資格:宅地建物取引士・日商簿記2級・大型自動二輪

◇大手不動産仲介業者で23年間の仲介実績に加え、自身での不動産売買経験も4回と経験豊富です。取り扱い物件は、名古屋市内、愛知県全域での自宅から商業地ビルまで多岐にわたります。前職大手不動産会社での全国表彰回数は26回!この経験を活かしお客様のお悩みを解消していきます。お気軽にご相談ください。

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