リースバックのメリットとデメリットは?売却後も自宅に住み続けたい方へ
ご自宅を手放したいけれど、住み慣れた家から離れたくない―そんな悩みをお持ちではありませんか。家を売却しつつ、今の住まいにそのまま暮らし続ける方法として「リースバック」が注目されています。しかし、利点だけでなく気を付けたい点もあるのが実情です。本記事では、リースバックの基本的なしくみから具体的なメリット・デメリット、知っておきたいポイントまで、どなたでも分かりやすく解説します。大切な住まいと資産を守るため、ぜひ最後までご一読ください。
リースバックの基本のしくみとメリット
リースバックとは、ご自身の住んでいる家を不動産会社などに売却したうえで、賃貸契約を結び、そのまま住み続けることができる仕組みです。いわゆる「住み慣れた自宅を手放さず、住み続けながら資金を得たい方」に適した方法です。引っ越しや住所変更などの負担を避けられ、生活環境を維持できることが大きな魅力となっています。
主なメリットとして、まず第一に、売却と同時にまとまった資金を短期間で受け取れる点が挙げられます。通常の売却では買主探しや事務手続きに時間がかかりますが、リースバックでは業者が買取を行うため、現金化までが迅速です。さらに、所有者でなくなることで毎年の固定資産税や修繕費、管理費などの負担がなくなるため、費用の軽減にもつながります。
下記の表に、リースバックのメリットを簡潔にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住み続けられる | 引っ越し不要で生活環境が変わらない |
| 資金調達が迅速 | 売却と同時に現金化が可能 |
| 維持費の軽減 | 固定資産税や修繕費などの支払いが不要 |
リースバックがもたらす住環境の安定性
リースバックの大きな魅力の一つは、「引っ越し不要」である点です。住み慣れた自宅に住み続けることができるため、お子さまの転校などによる生活環境の変化を避けられます。教育面や日常生活の継続性という観点でも、大きな安心感をもたらします 。
また、リースバックでは売却した事実が近隣の人に知られにくいため、プライバシー保護の観点でも有利です。賃貸として住み続ける形となるので、第三者から見て「変化がない」ように見える点も大きなメリットです 。
さらに、一部の契約では「将来的に買い戻しが可能」な条件をつけることができます。資金が整ったタイミングで自宅を再び所有できる選択肢が残るため、生活拠点を変えたくない方にとっては、資産の取り戻しやすさという安心要素になります 。
| 特徴 | 内容 | メリット |
|---|---|---|
| 引っ越し不要 | 住み慣れた家をそのまま利用 | 転校・環境変化による負担軽減 |
| プライバシー保護 | 売却が周囲に知られにくい | 余計な詮索からの安心 |
| 買い戻し可能 | 将来買い戻しの契約条項設定可 | 資産を取り戻せる可能性 |
リースバック利用時の主なデメリットと注意点
リースバックには魅力的なメリットがありますが、その反面、利用にあたって注意すべきデメリットも存在します。以下に主な3点をわかりやすく整理いたします。
| 項目 | 内容 | 注意すべきポイント |
|---|---|---|
| 売却価格が市場価格より低い | リースバックでは、市場相場より安く売却されることがあります。 | 複数社の査定を比較し、相場観を把握しましょう。 |
| 家賃が割高になる可能性 | 通常の賃貸より高い家賃が設定されることがあり、長期的にはコストがかさむことがあります。 | 売却価格と家賃のバランスを十分に検討してください。 |
| 契約制限・所有権喪失 | 所有権が移転し、リフォーム制限や契約更新ができないリスクがあります。 | 契約形態や更新の可否を事前に確認しましょう。 |
まず一つ目は、売却価格が市場価格よりも低くなる可能性です。リースバックでは買い手が将来的な家賃収入や再販売利益を見込むため、相場より安く買い取られることが一般的です 。適正な価格で売却するために、複数の会社に査定を依頼し、価格の比較検討が重要です。
次に、家賃が割高になる点です。一般的には、年額が売却価格の6~13%程度となるケースが多く、長期で住み続けるとトータルの支払いが大きくなる可能性があります 。売却価格を高くすれば手元資金は増えますが、家賃負担も増えるため、両者のバランスを見極める必要があります。
さらに、賃貸借契約には制限がつきものです。多くの場合「定期借家契約」が用いられ、契約期間が2〜3年などと定められ、自動更新されず満了後に退去を求められることがあります 。また、所有者としての権利を失うため、リフォームやリノベーションを自由にできず、買い戻しの際にも売却価格より高額となるケースがある点にも留意が必要です 。
これらのデメリットを踏まえた上で、ご自身の資金ニーズと住み続ける期間の見通しを明確にし、慎重に判断されることをおすすめいたします。
自宅を売却しても住み続けたい方が検討すべきポイント
リースバックを検討する際、まず注目すべきは「売却価格」と「家賃」のバランスです。市場相場より低めの売却価格(市場価格の6~8割程度が目安といわれます)を受け入れつつ、家賃は売却価格や期待利回りに基づいて算出され、相場より割高になることがありますので、資金ニーズと住み続ける期間を踏まえ、支払い可能な家賃水準かよく確認することが重要です 。
次に、賃貸借契約の種類――「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いを把握しましょう。普通借家契約は借主の更新権が強く、長期にわたって同じ住まいに住み続けやすい形式です。一方、定期借家契約は契約期間終了後に契約更新できない場合があり、家賃は比較的抑えられる傾向にあります。将来の住み続けやすさを踏まえ、自分のライフプランに合った契約形態を選ぶようにしましょう 。
さらに、「買い戻し条件」や「リフォームの可否」なども判断材料になります。リースバックでは買い戻し特約を付けられることがあり、設定期間中であれば優先的に買い戻しが可能な場合があります。また、リフォームや改装の可否も含めて、自分の将来のライフプランに沿う選択肢かどうか確認することが大切です 。
下記の表に、検討すべきポイントを整理していますので、ご自身の状況に合わせて確認材料としてご活用ください。
| 検討ポイント | 意識すべき内容 | 重要性 |
|---|---|---|
| 売却価格と家賃のバランス | 売却価格が相場より低いうえ、家賃が割高になり得ること | まとまった資金調達と住み続けの両立 |
| 契約形態(普通 vs 定期) | 更新の有無、家賃水準、住み続けやすさの違い | 住まいの安定性への影響 |
| 買い戻しやリフォームの条件 | 将来の買い戻し可能性や住まいの柔軟性 | 将来の選択肢の幅 |
まとめ
リースバックを活用すれば、自宅を手放しても住み慣れた環境を維持したまま資金を確保できます。持ち家の負担が減る一方で、家賃や契約条件には十分注意が必要です。生活の安定やプライバシー確保、将来の買い戻しなど多様なメリットがある一方で、売却価格や賃料、契約期間の条件を冷静に比較検討することが重要です。ご自身の今後の暮らしや資金計画に合うかどうか、賢く選びましょう。
